
「テト」は、ベトナム人が一年の中でもっとも楽しみにしているベトナムの年中行事です。
毎年、テトの時期には故郷から離れて暮らすベトナム人の多くが帰省し、家族や親戚とテト料理を囲い、友人ともどもテトを祝います。
一方でテト休暇に入ったオフィス街は閑散とし、商業エリアでは人通りがまばらになり休業している店舗が多くなります。
この記事では、ベトナム人のテトの過ごし方やテト料理など古くから伝わる風習などについてまとめてみたいと思います。
Contents
ベトナムのテトとは何?

▲フエ王宮のテトの飾り
テトとは、ベトナムの旧正月のことです。
旧正月の時期になると、日本では中国の「春節」が毎年のようにニュースになりますね。
実はこの旧暦の新年を祝う風習は、なにも中国だけに限ったことではありません。ベトナムでも旧正月を「テト」と呼び盛大にお祝いをします。
ベトナムの他にも韓国、シンガポール、台湾など中国文化の影響を受けた国や華人の多く住む地域でも旧正月を祝う習慣がいまでも残っていますね。
テトの英語はなに?
テトの英語は、
- Vietnamese New Year
- Vietnamese Lunar New Year
- Tet Holiday
などです。
テトのベトナム語はなに?
テトのベトナム語は、「tết nguyên đán(テト グエン ダン)」。一般的には「tết(テト)」と言います。
「tết nguyên đán」の漢越語は、
- tết(節)
- nguyên(元)
- đán(旦)
で「節元旦」となります。
テトはいつ?
テトの日程は旧暦に則って数えられます。新暦(現在使われている暦)では毎年日付が変わるのでご注意を。
2021年とその後のテトの元日
テトの元日は毎年、1月下旬頃から2月中旬頃。2021年から2026年までのテトの元日予定日は以下の通りです。
- 2021年1月25日
- 2021年2月12日
- 2022年2月1日
- 2023年1月22日
- 2024年2月10日
- 2025年1月29日
- 2026年2月17日
テト休暇は何日あるの?

▲テトのカレンダー
ベトナムの法定ではテト休暇はテト元日前後の5日間になっています。休日がテト休暇と重なる場合は、振替休日が設けられます。
2020年を例に挙げると、旧暦の新年は1月25日。公務員のテト休暇は、土日の休日を振替えて1月23日から29日までの7連休でした。
テト以外のベトナムの祝祭日はいつ?
ところでベトナムでは、テト休暇以外の祝祭日は何があるのか気になりますよね。
日付 | 祝祭日 | ||
1月1日 | 新年 | New Year | |
1月下旬~ 2月上旬 | テト(旧正月) | Tet Holiday | |
4月2日 | 雄王記念日 | Hung Kings Festival | |
4月30日 | 南部ベトナム解放記念日 | Victory Day | |
5月1日 | メーデー | Labour Day | |
9月2日 | 建国記念日 | National day |
ベトナムの祝祭日は年間10日でテト休暇がそのうちの半分を占めています。日本と比べるとかなり少ない感じがしますね。
テト休暇は唯一の大型連休でもあり、ベトナム人にとっていかに特別な時期なのか想像に難くないですね。
なお、新暦の新年も祝祭日ですが、テトほど重要視されていません。
テトのベトナム語の挨拶は?

▲ベトナムスーパーのテトの飾り
ベトナム語で新年を迎える挨拶は「chúc mừng năm mới(チュック ムン ナム モイ)」です。「Happy new year / あけましておめでとうございます」に相当します。
「chúc mừng năm mới」と挨拶された場合は、同様に「chúc mừng năm mới」と返せばいいですね。
- chúc mừng「祝福する、~おめでとう」
- năm mới「新年」
テトの風習
日本でもお正月ならではの風習、例えば初詣や正月飾り、おせち料理、お年玉などなど古くからの伝統が受け継がれていますが、ベトナムではどんな旧正月の風習があるのかいくつか紹介したいと思います。
正月料理「ベトナムちまき」

▲テトのちまきと果物
べトナムの正月料理には、ベトナムちまき、ベトナムハム、各種肉料理、らっきょうや玉ねぎの漬物などがあります。
中でもで欠かすことのできない伝統的な正月料理と言えば、ベトナムちまき「バインチュン(Bánh chưng)」を挙げることができます。
バインチュン(Bánh chưng)とは?
「バインチュン(Bánh chưng)」は、バナナの葉に似た濃い緑色をしたラーゾン(Lá dong)の葉でもち米、緑豆、豚バラ肉を包みこみ半日ほど煮込んでつくられるベトナムのちまきです。
バインチュンはご先祖様へのお供え物として、また常温でも長持ちするため保存食としても重宝されます。
らっきょうや玉ねぎなどなどの漬物と一緒にそのまま、あるいは焼いてから食べます。

なお、バインチュンはハノイに代表されるベトナム北部の呼び方で、ホーチミンなどの南部では「バインテト(Bánh tét)」と呼ばれます。
大きな違いはその外見でバインチュンは正方形、一方のバインテトは円筒形です。

▲バインテト
写真のように旧正月に作られるバインチュンやバインテトは普段売られているものと比べてかなり大きめですね。
テトの飾りつけ

▲ベトナム北部では赤い梅の花が好まれる
テトの正月料理に欠かせないのが「ベトナムちまき」だとすれば、飾りにつけに欠かせないのは色とりどりの花です。

▲ベトナム南部で好まれるの黄色い梅の花
北部では赤い桃の花「ホアダオ(hoa đào)」、南部では黄色い梅の花(実際にはOchna integerrimaという品種)「ホアマイ(hoa mai)」が伝統的にテトの花とされています。きんかん(quất)や菊(hoa cúc)も好まれます。


▲テトの飾り「きんかんと菊の花」
祭壇に供える5種類の果物 「マムグークア」

縁起の良い5種類の果物を選び祭壇に供える「マムグークア(mâm ngũ quả)」も伝統的なテトの風習です。果物の種類は各地方ごとに違いがあるそうです。
お年玉
ベトナムにもお年玉を配る風習があり、北部ではムントゥオイ(mừng tuổi)、南部ではリーシー(lì xì)と呼ばれます。
ベトナムでは子供に加えてお年寄りにもおとし玉が配られます。
お寺への初詣


▲ベトナムのお寺
ベトナム人も日本と同様に年初にお寺に行き家族の健康と幸せ、商売繁盛など願をかけます。

▲お寺でもらった謹賀新年のカード
あいさつ回り
ベトナムでは人間関係をとても大事にします。親戚やご近所、先生、友人などへのあいさつ回りはテトには欠かせない大事なイベントの一つです。
しきたりでは、元日は父親の親戚、2日目は母親の親戚、3日目は恩師を訪ねるそうです。
ベトナム人はテトに限らず、節目節目に贈り物や現金を渡すことでお世話になっていることに感謝の意を示すと同時に、さらなる便宜のお願いをします。
カードゲーム

ベトナム人はカードゲームやポーカーが大好きですね。テトの期間中は時間もたっぷり。思う存分遊べます!
日本でテトはあるの?
近年、技能実習生や留学生など日本に中長期滞在しているベトナム人がとても増えましたね。
神戸や大阪などベトナム人の多く住む地域では、テトフェスティバルが開催されています。近くに住んでいれば行ってみたいですよね!
最後に
テト休暇の前後は長距離バスや飛行機の予約がとりにくくなり、チケット代も相応にあがります。また、お店はテト期間中は休業となるところが多く、個人商店などでは長めのテト休暇をとっているところもあるので注意が必要です。

▲テト期間中はコンビニエンスストアー「ビンマート+(Vinmart+)」も休業していました。
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