上海フランス租界1日観光と共同租界

新天地

かつて「租界」と呼ばれていた上海の一角は、いまでも当時の面影を垣間見れることができます。

ヨーロッパを彷彿させる趣き豊かな洋風建築、理路整然として整備された並木道は他のエリアと一線を画しています。黄浦江に面する外灘(ワイタン)や淮海路(ワイカイロ)一帯はその典型です。

旧租界地区は、かつての洋館をリノベーションしたお洒落なカフェやレストラン、流行の最先端を行く有名ブランドショップが並ぶスポットも多く観光客にも人気のエリアですね。

かつての「上海租界」と言われるエリアを散歩してみました。

ここでは、フランス租界を半日から1日で観光できるモデルケースとして「衡山路」,「淮海中路」,「上海孫中山故居記念館」,「田子坊」,「新天地」、番外編として共同租界の「外灘」、多くの日本人が住んだ「虹口(魯迅公園)」を取り上げてみたいと思います。

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上海租界とは

まずは租界について少し言及しておきたいと思います。

「租界」は行政権などの特権が与えられた外国人居留地で、上海には「フランス租界」とイギリス,アメリカなどが共同で管理した「共同租界」が存在しました。

租界の英語は?

英語では「concession(譲歩,容認,居留地,租界)」、「settlement(定住,植民地,居留地)」。

wikiや中国の百度では、フランス租界が「Shanghai French Concession」,上海共同租界は「Shanghai International Settlement」と記述されています。

 時期

1845年11月~1943年8月。

租界ができた歴史

アヘン戦争と南京条約

アヘン戦争(1840年~1842年)はイギリスと中国(清)の戦争。イギリスによる麻薬の一種・アヘンの密貿易に対する清の取り締まりが発端でした。

中国(清)は戦争に敗れ、不平等条約である南京条約(1842年)に調印。香港の割譲に加えて上海,寧波(ねいは),福州,厦門(アモイ),広州の開港などを余儀なくされました。

後にこれらの条約港に半植民地的な外国人居留地「租界」が作られていきます。

フランス領租界

場所と地図

フランス租界は、上海中心地区の黄浦区,徐匯区,静安区,長寧区のうち黄浦区の新天地界隈(旧盧湾区)と徐匯区(じょかいく)に跨がるフランス単独の居留地でした。

現在では「淮海路」,「地下鉄1号線(黄陂南路駅~徐家匯駅)」,「地下鉄10号線(老西門駅~虹橋路駅)」が、その中央附近を横断していている地域です。

フランス租界観光ルート

今回はフランス租界を半日、寄り道をしながらゆっくり散策すればまるまる1日楽しむことのできる観光ルートを巡ってみました。

  1. 衡山路
  2. 淮海路(陜西南路駅)
  3. 思南路(上海孫中山故居記念館)
  4. 田子坊
  5. 新天地
  6. 淮海路(黄陂南路駅)

上海は「弄堂(ロンタン)」と呼ばれる入り組んだ路地が多いですが、まっすぐで大きな分かりやすい通りを選んで散策しました。

フランス租界には他にも華山路,武康路,汾陽路,愚園路,武康路, 湖南路,長楽路,興国路,茂名路など歴史ある建物や文化財が多く残る通りがあります。

閑静な住宅街の洋館と老房子が魅力の「衡山路」

衡山路

衡山路

観光のスタートは「衡山路(こうざんろ)」からです。

衡山路は徐家匯から宝慶路までのプラタナス並木が美しい、落ち着いた雰囲気の住宅街。並木道に調和したお洒落な洋館や老房子が見所です。

最寄り駅は地下鉄1号線の「衡山路駅」。今回のルートでは衡山路駅で下車、宝慶路(淮海路)に向かってぶらっと散歩してみることにします。

衡山路と東平路の交差点にある洋館レストラン「Sasha's」

衡山路と東平路の交差点にある洋館レストラン「Sasha’s」

衡山路と交差する「東平路」と「桃江路」には、洋館を改築した小洒落た飲食店やインテリア雑貨などを扱うセレクトショップがあることで知られています。

短い通りなのでぐるりと回ってみるのがおすすめです。コーヒーブレークや昼時にさしかかったならランチはいかがでしょうか?

衡山路と桃江路の交差点

衡山路と桃江路の交差点

衡山路はこの先で「宝慶路」と名を変えて淮海路と交差します。この周辺は領事館が多いことから、外国人の姿を多く見かけました。

実はこの区域はナイトライフでも有名。昼時にはレストランやカフェ、夜には雰囲気の良いバーに多国籍の老若男女が集います。

所用時間:衡山路駅から常熟路駅まで(約1.1km),東平路と桃江路を一周(約0.9km)して約1時間

老房子(ラオファンヅ)とは租界時代に建てられた西洋風の住居のことです。

淮海(ワイカイ)路でショッピング

淮海(ワイカイ)中路

淮海(ワイカイ)中路

宝慶路を北上、淮海路との交差点に地下鉄「常熟路駅」があります。地下鉄1号線を使って「陜西南路駅」まで移動します。1駅なので歩いても行ける距離ですね。

淮海路とは

淮海路」は東西に細長く拡がる旧フランス租界のほぼ中央を横断するフランス租界時代からのメイン通り。人民路(豫園駅そば)から虹橋路までの約6kmは、淮海東路,淮海中路,淮海西路の3つから構成されます。

フランス租界を観光するときは、この淮海路を押さえるのがコツです。淮海路を基準に考えれば、現在地が把握しやすく迷うこともありません。

淮海路は衡山路同様に車の交通量が激しい幹線通りです。しかし、整備された幅の広い歩道とおしゃれなショップ、そして街路樹や通りに面した襄陽公園, 淮茂緑地,淮海公園などの緑が都会の喧噪を忘れさせてくれます。

なお、通り沿いには地下鉄の駅と路線が複数あり、どこにでもアクセスがしやすい通りです。

  • 黄陂南路駅(地下鉄1号線)
  • 淮海中路(地下鉄13号線)
  • 陜西南路駅(地下鉄1,10,12号線)
  • 常熟路駅(地下鉄1,7号線)
  • 上海図書館駅(地下鉄10号線)
  • 交通大学駅(地下鉄10号線)
  • 虹橋路駅(地下鉄4,10号線)

洗練されたショッピング街の淮海中路

淮海(ワイカイ)中路

淮海(ワイカイ)中路

淮海路の中でもひときわ賑やかなのは淮海中路の「陜西南路駅(陝西路)」から「黄陂南路駅(西藏南路)」までの区間。上海では南京東路に次ぐ賑やかさで、おしゃれで垢抜けたショッピング街として人気があります。

環貿iapm商場が主張する陜西南路駅(せんせいなんろ)

陜西南路駅前の環貿iapm商場

陜西南路駅前の環貿iapm商場

陜西南路駅前には派手な外観の巨大なショッピングモール「環貿iapm商場」があります。

休息も兼ねて中に入ってみることにしましょう。吹き抜け広場が目を引く館内には「グッチ」や「プラダ」などの高級ブランドショップ、巨大なアップルストアがテナントに入ります。きらびやかな上海の顔です。

館内には日本食はもちろん、多彩なレストランやスーパー,映画館もある上海を代表するショッピングモールの一つになっています。

オークラガーデンホテル上海(花園飯店上海)と国泰電影院のある茂名南路

オークラガーデンホテル上海(花園飯店上海)と国泰電影院のある茂名南路

陜西南路から外灘の方向に約5分、淮海路と茂名南路の交差点には上海市優秀歴史建筑の一つ「国泰電影院(キャセイシアター)」が佇みます。

さらにその後方には、日本人に人気の高級日系ホテル「オークラガーデンホテル上海(花園飯店上海)」と「ジンジャンホテル上海 (上海錦江飯店)」があります。

オークラガーデンホテル上海の前身は租界時代の「フランス倶楽部」。バロック様式の格式高い外観と館内のフランス式装飾や美術、庭園は定評があります。

一方の上海錦江飯店北楼も、同時代にキャセイマンションと呼ばれた上海の高層住宅の先駆け的存在です。

思南路(上海孫中山故居記念館)

思南路

思南路

茂名南路を過ぎて2つ目の交差点が「思南路」です。思南路を南に進み「上海孫中山故居記念館」、そして「田子坊」に訪れることにしましょう。

上海孫中山故居記念館

上海孫中山故居記念館

孫中山故居記念館」は思南路と香山路の交差点にあります。すぐ裏手には復興公園が広がる閑静な場所。

孫中山の銅像

孫中山の銅像

孫文(孫中山)は辛亥革命(1911年)の指導者として、清を倒し中華民国を建てました。故に中国では近代民主革命の先行者、台湾では国父と呼ばれる革命政治家です。

日本にも縁の深い孫文の号である「孫中山」は、日本亡命中に「中山 樵(なかやま きこり)」と名乗っていたことが由来だそうです。

今では中国各地にこの「中山」がついた名前の公園や大学、通りなど多くをみることができますね。

孫中山故居記念館

孫中山故居記念館

敷地内には記念館の他に、孫中山が妻の宋慶齢と晩年(1918年~1924年)を過ごした洋館も見学することができます。内部には調度品が展示され、当時の様子を窺い知ることができます。

孫中山故居記念館データ

住所:上海市香山路7号
入場料:10元
開館時間:9∶00-17∶00(発券は16:30まで)
公式ウェブサイト:上海孫中山故居記念館

中国共産党代表団駐滬事務所(上海周公館)記念館

周公館

周公館

孫中山故居記念館から3分ほどの距離に「周恩来」の邸宅とされる3階建ての「上海周公館」があります。館内には、当時使われていたデスクやベッドなどの調度品が保存されています。

所用時間:陜西南路駅から上海孫中山故居記念館まで徒歩で20分(約1km)+見学時間約30分

アーティストが集うことで人気がでた「田子坊(泰康路)」

田子坊の入口

田子坊の入口

田子坊(たごぼう,でんしぼう)」は、地下鉄9号線打浦橋駅前に広がる若者に人気のあるショッピングエリア。孫中山故居記念館からは徒歩で約15分。

意外にも田子坊の観光地としての歴史は浅く、1998年までは地元の市場に過ぎなかったそうです。

現在のように人気を集めるきっかけとなったのは、中国の著名な洋画家で映画監督でもある「陳逸飛」がアトリエを置くようになってから。次第に若いデザイナーや芸術家が集まり、アートの街として内外に知られるようになりました。

田子坊

田子坊

入り組んだ路地裏には石庫門をリノベーションしたおしゃれな雑貨屋やお土産屋,カフェ,バーなどが所狭しと並びます。

田子坊にあるお店

田子坊にあるお店

「田子坊」の特徴はオリジナリティ溢れるハイセンスのショップやギャラリーが多いことですね。

田子坊の旅行案内地図

田子坊の旅行案内地図

土日や休日は人出が多く歩くのも大変なほど・・・平日がおすすめです。

所用時間:上海孫中山故居記念館から田子坊まで徒歩で15分(約0.9km)+見学時間約45分

石庫門とは旧租界地域によく見られる集合住宅。西洋風建築と上海,蘇州,浙江などの伝統的な建築様式が合わさった建物。

石庫門の特徴を残しながら再開発された「新天地」

新天地

新天地

新天地」は租界時代の石庫門住宅を大規模に再開発したショッピングエリアです。興業路を隔てて北側にある「北里」と南側にある「南里」の2つのブロックからできています。

最寄り駅は北里が地下鉄1号線「黄陂南路駅」,南里が地下鉄10,13号線「新天地駅」。

田子坊からは地下鉄を利用することにしましょう。9号線「打浦橋駅」から、次の駅「馬当路駅」で13号線に乗り換えて一つ目が「新天地駅」です。

新天地駅前にあるショッピングモール「新天地時尚」

新天地駅前にあるショッピングモール「新天地時尚」

新天地駅前には「新天地時尚」という大きなショッピングモールがあります。この新天地時尚の中を通って新天地南里を目指します。

新天地南里

新天地南里

南里はショッピングセンターや商業ビル、ホテルなどモダンな建物が目立ちます。

新天地北里の噴水広場

新天地北里の噴水広場

一方の北里は石庫門の建物が随所にみられ洗練されたオールド上海の雰囲気を醸し出しています。

おすすめは、北里をぶらぶらと見て回ることです。メイン通りはもとより、路地にも石庫門の素敵な風景やお店が沢山あります。雰囲気の良いカフェやレストランのテラス席でゆったりとまどろむの乙なものですね。

所用時間:田子坊から新天地まで地下鉄と徒歩で25分(約2km)+見学時間約1時間

黄陂南路駅

黄陂南路の香港市場

黄陂南路の香港市場

新天地南里からは、海淮路にある地下鉄「黄陂南路駅」が最寄り駅です。駅前には「香港市場」などのショッピングモールがある賑やかな地区です。

今回のフランス租界観光はここが最終地になります。

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こちらの上海名所を巡る1日ツアーは、フランス租界をレンタルサイクルで巡ります。また、現地在住の日本語ガイドが案内するので、ガイドブックでは載せてない現地情報も知ることができるでしょう。興味がある方は下記リンクにてツアー内容を確認してください。

【外灘・豫園・浦東】上海の名所を一日でまわる!市内終日観光&変面ショーディナー【送迎付】

共同租界の場所と地図

上海にはフランス租界の他にイギリス,アメリカを中心として管理された「共同租界」が存在しました。

共同租界はフランス租界の北側、外灘(バンド)地区を含む黄埔江沿いの場所になります。ここでは共同租界についても少し触れておきたいと思います。

共同租界の観光名所「外灘(バンド)地区」

黄埔江からみた外灘

黄埔江からみた外灘

外灘」は銀行や領事館が集まった共同租界の中心地でした。

黄埔江沿いには遊歩道が整備され、重厚なヨーロッパ風建物と対岸の浦東に聳え立つ高層ビル群が一望できる上海随一の観光名所になっています。特にライトアップされる夜景がきれいなことで有名です。

上海おすすめ観光スポット「外灘(ワイタン)」ライトアップされた夜景が人気!

2017.05.08

虹口の日本人街「日本租界」

魯迅公園と四川北路

魯迅公園と四川北路

1870年代から上海に進出するようになった日本人は、最盛期にはなんと10万を超える規模になったそうです。

魯迅公園内には魯迅記念館があります

魯迅公園内には魯迅記念館があります

日本人の主な居住地は虹口地区で共同租界外にまで居住区を拡大し、通称「日本租界(日本人街)」を形成しました。

その一部である上海虹口足球場、四川北路周辺は当時の日中文化人が集い交流した地域として知られています。「阿Q正伝」で知られる魯迅も晩年を過ごした地域です。

多倫路文化名人街

多倫路文化名人街の壁画

多倫路文化名人街の壁画

魯迅公園にほど近い「多倫路文化名人街」は観光者向けに整備された芸術と文学の通り。魯迅や内山完造などの銅像や芸術作品,骨董品店,画廊、そしてカフェなどが建ち並びます。

内山完造が開業した「内山書店」は四川北路にありました。

最後に

フランス租界の旅はいかがだったでしょうか?フランス租界はまだまだ多くの見どころがあるのでアレンジを加えて観光してもらえたらと思います。

時間が許せば日本租界にも足を伸ばしてみて下さい。では、よいご旅行を!

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